プログラム
プログラム
テーマ
その人らしさを支えるがん看護 ~知と技の伝承から創造へ~
会長講演
「その人らしさを支えるがん看護 ~知と技の伝承から創造へ~」
演 者 | 國府 浩子(熊本大学大学院 生命科学研究部) |
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座 長 | 雄西 智恵美(徳島大学大学院 医歯薬学研究部) |
日 時 | 2月23日(土)9:00~9:50 |
会 場 | 第1会場(福岡サンパレス コンサートホール) |
特別講演
特別講演1
「多様性の時代に、自分らしく生きる力をもとめ旅する人々に寄り添う」
演 者 | 波平 恵美子(お茶の水女子大学名誉教授) | 座 長 | 國府 浩子(熊本大学大学院 生命科学研究部) |
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日 時 | 2月23日(土)9:50~10:50 |
会 場 | 第1会場(福岡サンパレス コンサートホール) |
企画意図 | いつの時代においても私たち看護職は、がん患者とその家族の「その人らしさ」を尊重し、人々の生活を支え続けてきた。また、そういった看護実践を支える実践知を創造し、それを形式知として可視化する研究的努力を積み重ねてきた。 しかし近年、がん医療はめまぐるしく変化し、多様化・個別化の時代を迎えている。その結果、治療や療養の選択肢は増え、人々の価値観の多様性もあいまって、複雑な様相を呈している。 多様化・個別化の時代を生きるがん患者と家族の「その人らしさ」を支えるためには、豊かな看護の知と技が必要であり、先達の知と技を基盤に、さらにそれらを発展・創造させていくことが求められる。 豊かな知と技を構築することにおいて、隣接する他の学問分野の観点や技法等を取り入れることは大変有用である。特別講演1では、文化人類学/医療人類学のパイオニアである波平恵美子氏をお迎えし、これまでの研究の成果で明らかになった“日本人の「その人らしさ」”についてご紹介いただくとともに、当該学問領域ではどのようにして「その人らしさ」に迫るのか、その観点や技法等についてご講演いただきたいと考える。 |
特別講演2
「その人らしさを支える医療“がん哲学外来”に学ぶ」
演 者 | 樋野 興夫(順天堂大学 医学部) |
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座 長 | 佐藤 まゆみ(千葉県立保健医療大学 健康科学部) |
日 時 | 2月24日(日)9:00~10:00 |
会 場 | 第1会場(福岡サンパレス コンサートホール) |
企画意図 | 「その人らしさ」を支えるケアは、患者やその家族の意思決定を促し、病状が進行していくなかでも生き生きとした日々を過ごすことを可能にするといわれ、私たち看護職は「その人らしさ」を尊重することを大切にしてきた。しかし一方で、がん医療が高度専門分化し、電子カルテやクリティカルパスなどの導入による業務の効率化とともに、患者の個別性が見えにくくなっている現状もある。 がん患者と家族の「その人らしさ」を支えるためには、その人にしか生きられない固有の人生や価値を知ることなど「その人らしさ」を理解することが求められ、そのためには、患者家族と対峙し対話することが必要である。 特別講演2では、「がん哲学外来」を設立し、日々患者と対峙・対話されている樋野興夫氏をお迎えし、「がん哲学外来」をご紹介いただく。「哲学」とは、世界・人間・神・善悪などの普遍的・根源的なものを追求する学問である。そして、がん哲学とは「科学としてのがん学を学びながら、がんに哲学的な考えを取り入れていく立場」とされている。「がん哲学外来」の実際、援助者として大切にしている普遍的・根源的なもの、また、その姿勢等をご講演頂くことで、「その人らしさ」を支える看護の知と技に、豊かさと広がりが得られると考える。そして、今一度、他者理解に必要な自分自身の価値観や死生観、倫理感を認識し、その人らしさを支える看護者としての自己を問う機会としたい。 |
教育講演
教育講演1
「基礎から学ぼう がんゲノム医療 ~遺伝子に合わせた治療の時代~」
演 者 | 櫻井 晃洋(札幌医科大学 医学部) |
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座 長 | 川崎 優子(兵庫県立大学 看護学部) |
日 時 | 2月23日(土)11:00~12:00 |
会 場 | 第1会場(福岡サンパレス コンサートホール) |
企画意図 | 第3期がん対策推進基本計画では、がん医療を充実させるために「がんゲノム医療」を推進する方針が打ち出され、時代はまさに個人のゲノム情報に基づいたオーダーメイド(個別化)医療を加速させている。しかし、「遺伝」「遺伝子」「ゲノム」「パネル検査」「コンパニオン診断」「がんクリニカルシーケンス」「バイオバンク」等、聞き慣れない用語が飛び交い、普段の業務で遺伝やゲノムに関わることの少ない看護職の中には、ゲノム医療は難しいと敬遠してしまう場合もある。 そこで本教育講演では、これからの日本が迎えるがんゲノム医療について、用語解説を含めた基礎知識を整理しながら、がんゲノム医療の実施に必要な要件や看護の現場で求められる課題などについて、日本のがんゲノム医療整備の最前線におられる先生にわかりやすく解説していただき、看護職の方々ががんゲノムの話題を身近に感じられるようになることを期待している。 また、この教育講演は、がんゲノム医療に関する「シンポジウム1」の前提知識の提供として位置づけており、教育講演で基礎知識を得た方は、ぜひ「シンポジウム1」にもご参加いただき、がんゲノム医療の現状と課題について具体的に考えていただきたい。 |
教育講演2
「 その人らしく暮らす を支える生活調整の知と技
~緩和ケアのエキスパートナースから学ぶ~」
演 者 | 小迫 冨美恵(横浜市立市民病院) |
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座 長 | 田村 恵子(京都大学大学院 医学研究科) |
日 時 | 2月23日(土)15:00~16:00 |
会 場 | 第3会場(福岡国際会議場 メインホール) |
企画意図 | がんが進行し身体機能が低下する時期の患者は、これまでできていたことができないといった生活上の困難を次々と体験し、自分らしさを喪失したかに感じ、尊厳までも脅かされる。 このようながん終末期における患者への生活調整は、個々の心身の機能を踏まえつつ、従来の生活習慣や大切にしている価値観を軸にした、その人らしい生活の営みを全人的側面から理解した生活調整の知と技が求められる。例えば、単なる栄養管理ではなく生きることにつながる‘食べる’ことへの支援、尊厳に配慮した排泄の援助、その人の価値や希望を尊重した’清潔‘の支援、環境の調整などである。このような生活調整は患者の日々の意思決定を促し、生き生きとした生活や社会参加を可能にし、病状が進行していくなかでも充実した日々を過ごすことを可能にするといわれている。 そこで本教育講演では、終末期にあるがん患者が、病状が進行していく中でもその人らしく充実した日々を暮らせるように、そのひとのもつ力を十分に使って最期の瞬間までその人らしい生を全うできるよう支え続ける生活調整の知や技について、講師の日々の看護実践を踏まえてご教授いただく。そして、参加者が日々の看護実践の意味や価値を知り、明日からの看護実践へ役立つ「わざ」として活用していただくことを意図する。 |
教育講演3
「臨床現場で取り組む知の創造
~実践者と研究者の協働によるアクションリサーチ~」
演 者 | 三次 真理(武蔵野大学 看護学部) |
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座 長 | 林 ゑり子(一般財団法人同友会 藤沢湘南台病院) |
日 時 | 2月23日(土)16:10~17:10 |
会 場 | 第3会場(福岡国際会議場 メインホール) |
企画意図 | 実践と研究をつなぐ新たな研究方法の一つにアクションリサーチがある。アクションリサーチでは、実践者と研究者が協同して臨床現場で実際に生じている問題に取り組む。そのため、得られる研究成果は実践に根差した知となり、臨床現場を変革する支えとなる。また、研究のプロセスにおいて実践者と研究者双方の成長が促され、臨床現場の機能強化にもつながる。臨床現場では、その人らしさを大切にした看護実践につなげるために、これまで積み上げた豊富な臨床経験に基づいて様々な創意工夫を行っているが、どのような知識や技術が提供されているのか可視化することは依然として課題である。本講演では、実践現場に変化を起こしていく一つの方法として、アクションリサーチの経験をもつ講師の先生に登壇していただき、特にロジャーズとニューマンのパラダイムに基づいたミューチュアル・アクションリサーチ(研究者と実践者が相互的関係のなかで影響し合いながら看護実践に変革を生み出していく手法)をご紹介いただく。がん患者と家族の生活習慣に着目した実際の研究例を具体的に紹介していただきながら、アクションリサーチについての理解を深め、実践でのさまざまな問題を計画的に解決していく方法について学ぶ機会としたい。 |
教育講演4
「その人らしさを尊重するがん放射線治療
~高精度『緩和的』放射線と看護師への期待~」
~高精度『緩和的』放射線と看護師への期待~」
演 者 | 土器屋 卓志(佐々木研究所附属 杏雲堂病院) |
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座 長 | 祖父江 由紀子(東邦大学医療センター大森病院) |
日 時 | 2月23日(土)17:10~18:10 |
会 場 | 第1会場(サンパレス福岡 コンサートホール) |
企画意図 | 放射線治療は、根治から転移再発の予防、そして症状緩和と広い目的で実施される。近年、放射線治療機および周辺機器の技術の進化に伴い、病巣へ集中して周囲への線量を低減できるような高精度放射線治療が行われるようになってきた。放射線治療には様々な方法がある中で、病巣部位、病期や治療目的、患者の状態などから個別の照射方法が適用される。また、放射線治療を受ける対象者は小児から高齢者まで幅広く、患者自身が身体・心理・社会的にも複合的で、発達課題特有の課題を抱えているケースも増加している。さらに、患者個々の多様な価値観から、がん患者としての希望や治療に対する考え方を反映した放射線治療が提供されるようになっている。そのような中、看護師は、放射線治療をひとくくりに考えるのではなく、高精度化し、個別化された放射線治療の内容を理解し、その人らしさを尊重した患者支援を行わなければなければならない。がん医療の進歩に伴い、がんに関する多くの情報が氾濫している中、個別性すなわち「その人らしさ」を尊重した高精度放射線治療の概観をお話いただき、患者の有害事象のアセスメント、ケアにつなげていくための看護視点となる考え方についてご講義いただく。 |
教育講演5
「臨床現場の知と技を研究につなぐ
~リバーストランスレーショナルリサーチ~」
~リバーストランスレーショナルリサーチ~」
演 者 | 真田 弘美(東京大学大学院 医学系研究科) |
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座 長 | 楠葉 洋子(長崎大学大学院 医歯薬学総合研究科) |
日 時 | 2月24日(日)10:10~11:10 |
会 場 | 第1会場(福岡サンパレス コンサートホール) |
企画意図 | 「治す医療」への希求が続く一方、がん罹患後の生命予後改善や高齢化などを背景に「支える医療」の重要性が増している。支える医療を実現するためには、疾病に伴い生じる日常生活への支障を取り除く援助が必要で、生活者としての患者のニーズに基づいた実践が求められる。リバーストランスレーショナルリサーチは、臨床現場にあるニーズを反映できる研究方法である。基礎研究の成果を臨床に応用する「トランスレーショナルリサーチ」の逆を意味し、臨床現場から問題点や疑問点を基礎研究にフィードバックする。これまでがん医療では主に創薬に活用されてきたが、看護学でもアセスメント技術の発展や機器開発など、より実践的で実用的な研究成果を得ることが期待される。今回、看護学領域におけるリバーストランスレーショナルリサーチについて紹介してもらい、臨床現場の課題を研究につなぎ、その人らしい看護を推進するための知と技をかたちづくる新戦略としたい。 |
教育講演6
「がん看護の技とこころをつなぎ育む看護教育の展望
~インストラクショナルデザインの効果的活用~」
~インストラクショナルデザインの効果的活用~」
演 者 | 鈴木 克明(熊本大学 教授システム学研究センター) |
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座 長 | 菊内 由貴(独立行政法人国立病院機構 四国がんセンター) |
日 時 | 2月24日(日)12:50~13:50 |
会 場 | 第1会場(福岡サンパレス コンサートホール) |
企画意図 | がん医療の高度化・個別化・多様化というめまぐるしい変化に対応するためには、看護職者は専門職として常に学び続けることが必要不可欠である。また、臨床現場で長い間大切に引き継ぎ、伝えてきた幅広く奥深いがん看護の「技とこころ」を、これからもつなぎ続けていくために、その担い手となる「人」を育み活かすことも重要である。学んだことが実践で有効に活用でき、日々の実践やよいモデルとなる看護師から動機づけられてさらに学び、新しい知識・技術だけでなく、普遍的な看護の「技とこころ」が継承されていくよい循環が定着する環境が現任教育の場では求められている。 看護職者が専門職として自立的に学び続けることを支えるために、「成人学習理論」をはじめとした教育活動の効果・効率・魅力を高めるための手法を集大成した研究分野であるインストラクショナルデザイン(教育設計、以下ID)の活用は大変意義深い。最近では看護教育に関連したIDの記事や書籍が少しずつ増加しており、看護現場でIDの考え方を活用しようとする認識は広まりつつある 。 そこで本教育講演では、日本におけるIDの第一人者である講師に、臨床現場における看護師の学習環境をいかに整備するかについて、成人の学習意欲を高める枠組みであるARCSモデルや、これまで教育機関向けに開発されてきた「IDの前提」を元に、医療分野に向けに試作された「IDの前提(病院版)」等を紹介していただく。 看護師教育にIDを活用することで、がん看護の現任教育がより効果的・効率的・魅力的になり、これまで培ってきたがん看護の「技とこころ」、めまぐるしく進化するがん看護の課題克服を繋いでいけることを期待している。 |
シンポジウム
シンポジウム1
「がん看護実践における倫理的課題と向き合う
~がん看護専門看護師の様々な実践場面から~」
~がん看護専門看護師の様々な実践場面から~」
演 者 | 山田 みつぎ(千葉県がんセンター ) 井沢 知子(京都大学大学院 医学研究科) 稲村 直子(国立がん研究センター中央病院) 熊谷 靖代(野村訪問看護ステーション) |
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座 長 | 寺町 芳子(大分大学 医学部)
長谷川 久巳(国家公務員共済組合連合会 虎の門病院) |
日 時 | 2月23日(土)10:00~12:00 |
会 場 | 第3会場(福岡国際会議場 メインホール) |
企画意図 | 近年、がん患者の療養の場は医療費高騰や超高齢化社会に対応して外来・地域へ移行し、入院期間は大幅に短縮化している。「その人らしさ」を尊重した支援の充実は、患者にとっても、働く看護師のやりがいとしても重要課題といえる。「その人らしさ」を尊重した支援においては、患者や他の医療スタッフとの対話の中でも、多様化する価値観を認めつつ、ジレンマを感じる場面も多い。看護師には、望ましい看護実践と倫理的課題への対処の中で、常に自己の価値観と向き合う姿勢も求められる。 そこで、卓越したがん看護を実践するスペシャリストは、患者がその人らしく療養できる環境を整えるために、どのように看護師の価値観と対峙し、倫理的調整を行っているのか。がん患者実践者に求められる能力について考えたい。 治療選択・決定の場面、治療中止や緩和ケア移行の場面、家族や医療者らとの意見対立、在宅の療養の課題などスペシャリストが遭遇する倫理的問題解決の実践モデルを提示していただき、明日からの実践に生かす示唆を得る機会としたい。 |
シンポジウム2
「がんゲノム医療の現状と課題 ~その人らしさを支えるための個別化医療~」
演 者 | 武田 祐子(慶應義塾大学 看護医療学部 /大学院 健康マネジメント研究科) 平沢 晃(岡山大学大学院 医歯薬学総合研究科) 浄住 佳美(静岡県立静岡がんセンター) 大川 恵(聖路加国際病院) |
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座 長 | 青木 美紀子(聖路加国際大学 遺伝看護学) 岡本 泰子(熊本大学医学部附属病院) |
日 時 | 2月24日(日)9:00~11:00 |
会 場 | 第3会場(福岡国際会議場 メインホール) |
企画意図 | 平成30年3月厚生労働省は、がんゲノム医療を推進するために、中核拠点病院11施設、連携病院100施設を認定した。がんゲノム医療は、がん患者のがんに関連する遺伝子変異を明らかにすることで、従来のがん種ごとの治療方法に加え、がん患者一人一人の遺伝子変異に応じた個別化されたその人らしい治療方法を検討することを目指す。がん患者の体細胞のゲノム(全遺伝情報)を調べて治療に活かすことで、患者にとって治療の最適化を図る。しかしその一方で、検査や治療にあらたな意思決定を迫られる。遺伝情報から推奨される薬剤には、保険診療が適応される標準的な抗がん剤や分子標的治療薬に限らず、治験中や保険適応外の薬剤、中には現時点では治療法が見いだせない結果となることもある。さらに、検査したことによって受け継がれる遺伝性のがんであることがわかった場合は、家系内にどこまでその事実を伝えるかといった課題がおこることが予測される。 そこで本シンポジウムでは、現在、急速に広がりつつあるがんゲノム医療が抱える現状と課題に焦点を当て、その人らしさを支えるための個別化医療のあり方について、多職種でのディスカッションにより今後のより良い方向性を探りたいと考える。 まず、看護職のがんゲノム医療の現任教育プログラムを推進されている立場から現状について俯瞰していただく。次に、中核拠点病院の医師の立場から、現場での体制整備の実情、運営内容について紹介していただく。さらに、がんゲノム医療に携わる認定遺伝カウンセラーの立場から捉えた現状と課題および看護職に期待する役割・将来展望について紹介していただく。最後に、遺伝看護専門看護師の立場から、看護のスペシャリストとジェネラリスト、認定遺伝カウンセラーやソーシャルワーカー等の多職種との連携・協働および患者支援の現状や課題を紹介していただく。 以上を踏まえて、がんゲノム医療における患者・家族のその人らしさを支えるための支援のあり方について取り組むべき課題を探りたいと考える。 |
シンポジウム3
「がん看護の知と技の継承 ~研究と実践のさらなる融合~」
演 者 | 神田 清子(群馬大学大学院 保健学研究科) 山本 瀬奈(社会医療法人博愛会 相良病院) 松原 康美(北里大学 看護学部) |
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座 長 | 秋元 典子(甲南女子大学 看護リハビリテーション学部) 花出 正美(がん研究会有明病院) |
日 時 | 2月24日(日)12:50~14:50 |
会 場 | 第3会場(福岡国際会議場 メインホール) |
企画意図 | がんゲノム医療の登場や免疫チェックポイント阻害薬の開発に代表されるように、がん医療は新たな時代の到来を迎えている。同時に、従来から行われてきた手術療法、化学療法、放射線療法も着実に発展を遂げてきた。療養の場や社会環境も変わりつつあり、がん看護に求められる役割は一層高度化している。看護の質を高めていくには臨床現場の中で紡がれてきた知と技を継承できる形へと可視化していく必要があり、実践と研究は切り離せないものである。一方で、臨床現場に研究が浸透しているかというと、必ずしもそうとは言えない現状がある。その背景には役割の多様化や業務の煩雑さなど様々な課題があるが、これらの課題を克服し、実践と研究が両輪としてよりよく機能するために、本シンポジウムでは、日々の実践の中に研究を組み入れる工夫やそのための取り組みについて紹介する。 |
パネルディスカッション
パネルディスカッション1
「AYA世代のがん患者の心理・社会的支援を考える
~若年成人世代のニーズに寄り添う支援とは何か~」
~若年成人世代のニーズに寄り添う支援とは何か~」
演 者 | 平山 貴敏(国立がん研究センター中央病院) 岸田 徹(NPO法人がんノート) 金井 久子(聖路加国際病院) 白石 恵子(国立病院機構九州がんセンター) |
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座 長 | 森 文子(国立がん研究センター中央病院) 渡邊 知映(上智大学 総合人間科学部) |
日 時 | 2月23日(土)15:00~17:00 |
会 場 | 第1会場(福岡サンパレス コンサートホール) |
企画意図 | AYA(Adolescent and Young Adult)世代は、15歳以上40歳未満の思春期・若年成人世代を示し、その世代のがん患者とは、治療終了後の患者やAYA世代にある小児がん経験者も含む(引用「総合的な思春期・若年成人(AYA)世代のがん対策のあり方に関する研究」班)。AYA世代の中でも、特に若年成人世代(20~30代)は、精神的・経済的・社会的に自立し始める年代で、意思決定は本人が主体となる。しかし、それまでの生活や家庭環境はそれぞれに異なり、就学や就職、経済状況等の心理社会的自立は不安定でもあり、個人差がある。そのような時期のがん罹患や療養において求められる意思決定は、患者自身の今後の人生に大きな影響を与えることから、極めて個別的で多様なニーズを考慮した支援が必要となる。第3期がん対策推進基本計画の重点課題でもこの世代のがん患者の実態や抱える課題のより詳細な把握、診療・支援体制の構築と普及が期待されている。 そこで今回は、個々の状況や課題に向き合い、人生の重要な意思決定を行うこの世代の心理・社会的支援について、まず、研究者より、これまでの研究成果などから、意思決定支援、個別のニーズに応じた支援の現状についてご教授いただく。サバイバーの方からは、自分らしく治療や生活と向き合った体験や様々なサバイバーからの語りを紹介していただく。看護師や臨床心理士からは、ライフステージの特性を踏まえた心理社会的支援の実際、これまでの取り組みについてお話しいただく。これらを通して、参加者が若年成人世代の特徴や多様な価値観を認識し、地域で暮らす若年成人世代のがん患者が自分らしく生きるための心理・社会的支援について考える機会としたい。 |
パネルディスカッション2
「アドバンス・ケア・プランニング(ACP)における多施設連携と看護の力
~がん患者の希望をつなぐ地域医療を目指して~」
~がん患者の希望をつなぐ地域医療を目指して~」
演 者 | 森 雅紀(聖隷三方原病院) 岸野 恵(神戸大学医学部附属病院) 大内 紗也子(京都大学医学部附属病院) 江口 惠子(社会医療法人博愛会 相良病院) |
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座 長 | 濱口 恵子(がん研究会有明病院) 野口 玉枝(国家公務員共済組合連合会 浜の町病院) |
日 時 | 2月24日(日)14:00~16:00 |
会 場 | 第1会場(福岡サンパレス コンサートホール) |
企画意図 | がんになっても尊厳を持って安心して暮らせる社会の構築を目指し、医療や介護が地域コミュニティの中で連携することが期待されている。その人らしさを支える取り組みとして、ACPを治療病院から地域診療施設、訪問看護ステーションらと共有し、連携する施設が増えてきた。がん診断早期からの変化のプロセスで、患者本人がその時その時にどのような医療を望んでいるのか、どのような療養支援が必要かについて、患者が過ごす場において、ともに考え、継続的に支え合う仕組みは重要である。 一方、現在の医療システムの中では、情報共有のあり方、意思決定支援のプロセスを担う専門家の育成など課題も多いと思われる。 地域で患者の意思決定を支えるシステムについて、近年の取り組みや、他施設との連携における課題について講義いただく。その上で、がん患者がその人らしく暮らすことができる地域社会で発揮される看護の力について考えたい。がんを抱えながらも患者の意向・意思を大切にして地域社会で支えること、そこではどのような連携が必要とされているのかを考える機会としたい。 |
特別企画
「災害支援~がん患者への支援と看護師の心の変化~」
演 者 | 宇佐美 しおり(熊本大学大学院 生命科学研究部) 菅原 よしえ(宮城大学 看護学群) 安達 美樹(熊本大学医学部附属病院) 岡﨑 敦子(久留米大学病院) |
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座 長 | 中信 利恵子(日本赤十字広島看護大学 看護学部) 方尾 志津(国立病院機構 熊本医療センター) |
日 時 | 2月24日(日)9:00~11:00 |
会 場 | 第2会場(福岡サンパレス パレスルーム) |
企画意図 | 2011年東日本大震災、2016年熊本地震、2017年九州北部豪雨など、近年、日本各地で未曾有の自然災害がおこり、今なお人々の生活を脅かしている。がんという病を抱えながら生活している人々は、これらの自然災害により、生活の破綻だけでなく治療継続や症状マネジメントなど様々な問題が生じており、闘病生活に大きな影響を受けている。 看護職は、災害後の新たな課題に向きあうがん患者を支える役割がある一方で、自身も被災者という立場にある。自分自身の生活と看護職としての役割との間で葛藤し、意欲の低下や離職などが生じやすいとされている。この意欲の低下や離職は、災害直後だけでなく長期的に生じるとされており、地震後3年目を迎えた熊本においても今なお問題となっている。災害時のがん患者を支援するためには、災害における患者周囲の課題を解決するだけでなく、支援する看護職の心身の健康を維持できるようなスキルを獲得することも重要といえる。 本特別企画では、看護職が人々の身体とこころの反応に対応できるための人材育成プログラムを熊本地震直後から現在に至るまで継続して実施している講師に講演いただく。また、被災地でがん患者のケアを行った経験を持つ看護職にも登壇いただき、当時の現状や自身の心の変化、自ら被災しながらケアを行う体験、災害支援ナースとしての体験について語っていただく。今回は、参加者との意見交換の時間を設け、被災地における看護職の心身の健康維持について今一度考えるとともに、災害時のがん患者支援の状況や課題を知り、がん患者支援において必要なことは何かについて参加者とともに考える機会にしたい。 |
編集委員会主催 研修会
編集委員会企画セミナー
「高度実践看護師による「実践報告」の実際」
「高度実践看護師による「実践報告」の実際」
演 者 | 鈴木 美穂(がん研究会有明病院 副看護部長) |
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座 長 | 片岡 純(日本がん看護学会誌編集委員長) |
日 時 | 2月24日(日)12:50~13:50 |
会 場 | 第9会場(福岡国際会議場 413+414) |
企画意図 | 日本がん看護学会誌への投稿論文において、「実践報告」の投稿は非常に少ない現状がある。投稿規程では、実践報告は「がん看護学の発展に寄与すると考えられる実践に関する報告で、その看護の実勢を論文形式にまとめたもの」とされており、高度実践看護師による実践に関する報告を期待するが、実際にはどのような取り組みを実践報告とするのか、不明瞭な点もある。
そこで本セミナーでは、米国でAPNとして活動された鈴木美穂先生に日々の活動の成果をどのように取りまとめて公表するかについてご講演いただき、看護の取り組みを「実践報告」として投稿することの可能性を考える一助とする。 【企画】日本がん看護学会編集委員会研修会担当 作田裕美、大釜徳政、高山京子、 吉岡さおり、吉田みつ子 |
教育・研究活動委員会 エキスパートナース育成事業
「超高齢社会のがん看護」~その人らしい意思決定の支援を考える~
2019年度テーマ:
高齢がん患者の終末期への移行にまつわる意思決定を支えるケア
2019年度テーマ:
高齢がん患者の終末期への移行にまつわる意思決定を支えるケア
パネリスト | 徳岡 良恵:がん看護専門看護師 (大阪府立大学大学院 看護学研究科) 水野 俊美:がん看護専門看護師 (がん研有明病院) 倉持 雅代:緩和ケア認定看護師 (さくら醫院) |
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事例提供者 | 高屋敷 麻理子:がん看護専門看護師 緩和ケア認定看護師 (盛岡赤十字病院) |
司 会 | 長澤 昌子:緩和ケア認定看護師 (岩手医科大学附属病院) |
日 時 | 2月23日(土)10:00~11:30 | 会 場 | 第4会場 (福岡国際会議場 201+202) |
企画意図 | 日本がん看護学会教育・研究活動委員会では、「がん看護のエキスパートナースが実践につなぐための知識を獲得し、具体的なケア方法を学び患者と家族へのケア能力を高めること」をねらいとしてエキスパートナース育成事業を毎年企画しております。 現在、超高齢社会による2025年問題や多死社会の到来が見込まれることから、第32回・第33回学術集会におけるテーマを「超高齢社会のがん看護」とし、2年目となる本大会では終末期への移行にまつわる意思決定を支えるケアについて、事例を基にして学びを深めます。多数のご参加をよろしくお願いします。 |
教育・研究活動委員会 がん看護専門看護師海外研修助成事業
がん看護専門看護師海外研修助成事業報告
テーマ:「米国APNの活動の学びからそれぞれのCNSとしての役割・実践について検討する」
テーマ:「米国APNの活動の学びからそれぞれのCNSとしての役割・実践について検討する」
報告者 | 入江 佳子(筑波大学附属病院)
小山 美樹(東京女子医科大学病院) 高見 陽子(市立岸和田市民病院) 吉本 歩(松江市立病院) |
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日 時 | 2月23日 (土)15:00~16:00 | 会 場 | 第5会場 (福岡国際会議場401+402+403) |
企画意図 | 日本がん看護学会は公益財団法人小林がん学術振興会より「がん看護専門看護師の継続教育に関する助成-がん看護専門看護師海外研修助成事業」の助成を得て、がん看護専門看護師海外研修助成事業を実施しています。本事業は、がん看護専門看護師を米国のがん専門病院(UCSF Medical Center、Alta Bates Summit Medical Center)に派遣し、CNS、NP等とのがん看護に関する実地研修及びワークショップを通して、がん看護APRNの役割等の情報を収集し、最新の知見に基づくがん看護について理解を深め臨床能力の質向上を目指したプログラムで構成されています。本報告会では、「米国APNの活動の学びからそれぞれのCNSとしての役割・実践について検討する」と題して、2018年度がん看護専門看護師海外研修参加者4名による報告とともに、今後我が国のAPNとして求められる実践能力や役割を参加者とともに改めて考える機会としたいと思います。海外のがん看護やAPNの活動に関心がある方、海外研修に興味をお持ちの方、ぜひご参加ください。 |
Nursing Science Cafe
「ここまでわかっています!たばことがん発生の関係」
講 師 | 野口 久美子(九州がんセンター がん看護専門看護師) |
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日 時 | 2月23日(土)15:00~16:00 |
会 場 | 第6会場 (福岡国際会議場404+405+406) |
企画意図 | 中学生・高校生・関心のある方が対象です。 がん看護を専門に活動する看護師が役立つ知識を分かりやすくお話しします。お茶菓子を用意してお待ちしております。 |
市民公開講座
「がんがあっても最期まで住み慣れた自宅で暮らしたいを支える」
講 師 | 小笠原 文雄(小笠原内科・岐阜在宅 ケアクリニック 院長) |
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司 会 | 森本 悦子(高知県立大学 看護学部 日本がん看護学会 理事) |
日 時 | 2月24日(日)14:30~16:00 | 会 場 | 第2会場 (福岡サンパレス パレスルーム) |
企画意図 | わが国では急速な高齢化に伴う施策のひとつとして、在宅医療・看護への重点化が推進されています。がん終末期の療養場所については、在宅での看取りを可能とするための医療機関間、医療と介護の間の連携強化など、地域を含めた取り組みが進められています。そこで本講座では、『住み慣れた自宅で暮らしたい』という希望を叶えるため、在宅ホスピス緩和ケアや緩和デイケアを長年にわたり実践されている小笠原先生を迎え、がんがあっても、最期まで自分らしさを支える在宅での看取りに関わるお話をしていただきます。多くの皆さまのご参加をお待ちしております。 |
国際活動パネルディスカッション
「自分らしく国際学会に参加する―学会に参加した看護師からのメッセージ」
パネリスト | 古田 智恵(神奈川県立がんセンター 看護師) 長崎 礼子(がん研究会有明病院 看護師) 千葉 育子(国立がん研究センター 東病院 看護師) |
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司 会 | 水野 道代(筑波大学医学医療系 教授) |
日 時 | 2月24日(日)9:00~10:00 | 会 場 | 第9会場 (福岡国際会議場 413+414) |
企画意図 | 国際化はがん看護を発展させる上で重要なキーワードの一つです。私たちはさまざまなアプローチにより国際化に寄与することができます。国際学会に参加することもその一つです。本パネルディスカッションでは、最近国際学会に参加した3名のパネリストの方々より、国際学術集会の魅力を語って頂きます。パネリストはみな臨床で働く看護師です。自分で参加を決め参加登録をして学会を大いに楽しんだ方から、病院からサポートを得ながら演題登録やポスターを作成した方、修士論文を口述発表した方と、参加の仕方は人それぞれです。パネリストが自分の方法で体験した国際学会の魅力を会場の参加者と共有したいと考えています。 |
SIG フォーラム
「-自分の関心のある分野と仲間を見つけよう-」
SIGの紹介 | 遠藤 久美(日本がん看護学会SIG 担当理事) |
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日 時 | 2月23日(土)16:10~17:40 | 会 場 | 第8会場 (福岡国際会議場 411+412) 第9会場 (福岡国際会議場 413+414) |
企画意図 | SIG(特別関心活動グループ: Special Interest Group)は、「日本がん看護学会の会員が、自己の関心テーマにしたがって、志を同じくする者同士が集い、情報交換等を図って切磋琢磨し、より専門に特化した自己研鑽の場を共有すると同時に、テーマに関わるがん看護の質向上のために貢献すること」を目的として活動しております。 SIGの活動は2006年から開始となり、現在17グループが活動しています。活動内容は、講師を招いての学習会や事例検討会の開催、メーリングリストなどを活用した日々の情報交換などが主になりますが、学術集会での交流集会の開催や患者指導用のパンフレットの作成など、年々活動内容が充実してきております。SIG登録メンバーは現在約900名ですが、今後さらに活動を充実させ、各テーマに関わるがん看護を発展させていくためには、どのグループにももっと多くの仲間が必要です。 そこで今回の学術集会では、昨年度に引き続き、SIGの目的や現在活動している17グループがどのような活動を行っているのかを学会参加者の皆様にお伝えする時間と場を設けました。今回は17グループからの活動内容のプレゼンテーションと共に、各グループの活動を紹介するポスターを掲示して自由に見ていただけるスペースも用意しております。多くの皆様のご参加をお待ちしております。 |
がん看護技術開発委員会主催研修会
「がん患者の治療と仕事の両立に向けた支援
-療養・就労両立指導料および相談体制充実加算における看護師の役割-」
-療養・就労両立指導料および相談体制充実加算における看護師の役割-」
講 師 | 桜井 なおみ(キャンサー・ソリュー ションズ(株) 代表取 締役社長) 坪井 香(神奈川県立がんセンター がん看護専門看護師) |
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座 長 | 清水 奈緒美(日本がん看護学会がん 看護技術開発委員会) 玉木 秀子(日本がん看護学会がん 看護技術開発委員会) |
日 時 | 2月24日(日)14:00~15:30 | 会 場 | 第10会場
(福岡国際会議場501) 第11会場(中継) (福岡国際会議場502+503) |
企画意図 | 2018年度診療報酬改定では、がん患者の治療と仕事の両立に向けた支援についての評価が新設された。がん治療は入院治療から外来通院治療へ大きく変化し、社会的役割の維持や就労を含む療養環境の調整では、外来・入院を通じて治療開始時から患者自身や治療の状況に応じた支援の継続が重要である。 本研修会では、がん患者の治療と仕事の両立において、患者にとっての問題や必要な支援、がん治療と仕事の両立支援が診療報酬として新設された経緯、がん治療施設における看護支援の実際例を共有する。そして新設された診療報酬の理解を深め、がん患者の就労支援における看護師の役割発揮と評価を更に促進することを目指している。 |
倫理委員会主催研修会
「がん看護研究を行なう上で必要な研究倫理」
講 師 | 竹之内 沙弥香(京都大学医学部附属病院 倫理支援部) |
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座 長 | 荒尾 晴惠(日本がん看護学会 倫理委員会委員長) |
日 時 | 2月23日(土)11:10~12:10 | 会 場 | 第11会場 (福岡国際会議場 502+503) |
企画意図 | がん患者と家族のQOL向上、そしてがん看護の発展のためには、がん看護研究によって科学的根拠を創出する研究活動は重要です。しかし、その実施にあたっては、研究対象者を保護するための研究倫理指針が設けられています。がん看護学会には研究者だけでなく、臨床家もたくさん所属しており、実践に根ざした研究が多く行なわれています。研究倫理について系統的に学ぶ機会がないままに、看護研究をしなければならない会員もいるようです。 研究対象者を保護するためには、すべての研究関係者が研究倫理指針を理解して、研究を実施する必要があります。そうすることにより研究対象者の安全と、研究対象者への倫理的な配慮が担保できるとともに、研究者自身を守ることにもなります。 このたび、倫理委員会主催研修会として、がん看護研究を行なうために、研究対象者にどのような倫理的な配慮が必要なのか、研究倫理の基本的な考え方、研究倫理指針の概要などを学び、研究対象者保護の具体的なありかたを学習する機会を設けました。 |
理事会企画
「認定看護師制度再構築の概要とがん領域の認定看護師(仮)」
演 者 | 荒木 暁子(日本看護協会 常任理事) |
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座 長 | 荒尾 晴惠(日本がん看護学会 副理事長) |
日 時 | 2月24日(日)15:00~16:00 |
会 場 | 第3会場(福岡国際会議場 メインホール) |
企画意図 | 日本看護協会は、新たな社会ニーズへの対応を目指し、2025年の高齢化の進展による医療や介護の需要増大を鑑み、質の高い医療・介護などのサービスが必要な時に切れ目なく提供され、在宅や地域医療の充実にも貢献できるような認定看護師制度を基盤に、特定行為研修を組み込んだ新たな教育や役割を発展させるために、認定看護師制度の再構築に取り組まれております。 日本がん看護学会は、これまでに乳がん看護認定看護師、がん放射線療法認定看護師の領域申請を行ない、既存の緩和ケア認定看護師、がん性疼痛看護認定看護師、がん化学療法看護認定看護師とともに学会の教育研究活動委員会、SIGをはじめとして支援事業を継続してきました。そして、認定看護師制度の再構築にあたっては、「患者本位のがん医療の充実」の実現、また、社会の期待やニーズに応えるために、がん治療に関わる特定した領域に専門性の高い看護実践力をもつ認定看護師の存在は是非とも必要であると考え関与してきました。 日本がん看護学会には多くの認定看護師資格を持つ会員が所属しています。既に資格を持っている会員は、再構築された制度で自分達は、どのようになっていくのだろうかと不安をもたれている方々が多々いらっしゃることと思います。そこで、学術集会において、認定看護師制度再構築の担当理事をお招きし、新たな認定看護師制度について理解を深め、再構築された制度にどのよう対応していくことができるのか、会員の皆様が考えていける機会を設けることにしました。また、再構築された制度で認定看護師の資格を目指す会員の方、ともに働く看護師や管理職の皆様にもご参加いただき、がん領域の認定看護師のあり方を考える機会にしたいと思います。 |