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学術集会長挨拶
第33回日本がん看護学会学術集会長挨拶
第33回日本がん看護学会学術集会 学術集会長 國府 浩子

 このたび、第33 回日本がん看護学会学術集会を2019年 2月23日(土)・24日(日)に福岡の地で開催させていただきます。このような会長という大役を務めさせていただきますのも、会員、関係者の皆様のご支援の賜物と心より感謝申し上げます。
 今回の学術集会のテーマは、「その人らしさを支えるがん看護~知と技の伝承から創造へ~」といたしました。
 がん医療はめまぐるしく変化し、高度化・個別化、多様化を呈しています。今後、がんゲノム医療の本格的な展開によりがん患者を取り巻く環境はますます変化していくと思われます。世界に先駆けて超高齢社会を迎えたわが国においては、認知機能の問題や慢性的な疾患を併せもつがん患者が急速に増加するとともに、生活しながら治療するがんサバイバーも増加しています。先端的な医療介入を必要とする一方で、生活調整や生活支援を中心としたケア、人々の価値観の多様性が重んじられる中でのその人の生き方を尊重した意思決定支援、医療と介護の連携やコミュニティに広げていくアプローチが求められています。
 しかし、いつの時代においても看護職者は、がんとともに生きる患者とその家族の生活を軸にした支援を続け、『その人らしさ』を尊重することを重要視してきました。様々な課題を抱えるがん患者とその家族の『その人らしさ』を支えるためには、豊かな看護の知と技が必要であり、先達の知と技を可視化し、さらに発展・創造させていくことが求められています。看護の知の構築には、学問の垣根を超えた知の統合が重要であり、実践の経験知を客観的な知である形式知として蓄積し、形式知を実践の中で内在化していくことが必要です。
 そこで、今回の学術集会では、これまでのがん看護学の発展や成果がもたらした確かな知識や技術の積み重ねを継承しつつも、これからのがん看護には何が求められ、『その人らしさ』を支えるためにどのようなことを創造し、いかに社会に貢献していけるのかについて考える機会にしたいと思います。
 福岡は九州の玄関口であり利便性もよく、海の幸・山の幸が豊富で食を堪能できる地でございます。九州ならではの楽しみを味わっていただきながら、福岡の地から新しい看護の取り組みを発信できる機会になりますことを願い、多くの皆様のご参加を心よりお待ちしております。

 平成28年4月の「熊本地震」平成29年7月の「九州北部豪雨」で、熊本、福岡、大分では甚大な被害を受け、多くの方々からさまざまなご配慮をいただきました。この場を借りて御礼申し上げます。

第33回日本がん看護学会学術集会
学術集会長 國府 浩子
熊本大学大学院生命科学研究部 教授